2007.02.04 Sunday

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2006.11.07 Tuesday

短編「やおよろず」 ナナヒキメ

神社
やおよろずはほんのりPS2ゲーム「大神」にも影響を受けています。
モコリンが吸い込まれた神社とか、今回出てくる神社とかも上の大神のとある場所を脳内イメージして書いています。

「大神やってみたいなー。でもゲーム高そう…」と思っているそんなあなたに朗報です。
大神がPS2 The Bestになりました!!
なんと3000円弱の超お手ごろ価格で大神が手に入っちゃいます!
ベスト版といっても最初に発売された大神と何ら変わりないので、これはマジでお得ですw
12月中旬にベスト版が発売されるそうなので、興味のある方はチャンスですよ〜w
詳しくは↓
+大神公式サイト+(音楽鳴りますので音量注意)

それでは本題の「やおよろず」第七話いってみましょう〜。




「そろそろ下に降りましょうか」
「賛成〜!だってうっちゃん、足速いんだもん。あたしの足がくたくたになっちゃったよ〜」
「それでもついてこられるだけ、流石ナガレボシはんね。うちなんて全くダメ」
すたっと地面に着地すると、そこはさっきのお囃子の広場とは打って変わったとても寂しい場所だった。
全体的に真っ暗ななか、ひとつだけ小さな灯りが点っている。
モコリンが近づいてみるとそれはねずみの置物だった。
ねずみのもっているかめからちろちろと透明な液体が流れ出していて、その液体自身が明るい光を放っていた。
そっとモコリンがその液体に触れようとすると、急にねずみの置物がびくりと動いて噛み付こうとした。
「わ!」
「おい、こら!この娘っこ!オイラのかめに触ったら承知しねえぞぃ!」
「な、何?」
モコリンが慌てて手を引っ込めると、横からナガレボシが顔を出した。
「イサちゃん、ダメだよ〜。ジロちゃんにとってかめは宝物なんだから」
「ジロちゃんじゃねえ!次郎丸だって、何回言えばわかるんでぃ!」
ねずみがキイキイ声で反論する様子をモコリンがあっけに取られて見つめていると、ナキボタルが言った。
「次郎丸はんはこのお社の番人なんよ」
「番人?」
「もともとはツクモ神(物質にとり憑く妖怪のこと)の一種なんやけど、次郎丸はんはこのお社の行灯にずっと昔から憑いてらっしゃるさかい、番人といってもええかもしれんな」
「なんでい、なんでい!確かにオイラはツクモでおまいら『やおよろず』より下級の妖怪だけどよぅ!ここの番人であることに誇りをもっているんでぃ!だいたい、なんでおまいらがここに来てるんでぃ。ここは人間界へつながる場所だぞぃ」
「人間界へ!?」
モコリンははっとお社を仰ぎ見た。
そう言われてみればこのお社は現世にあったあの神社にそっくりだ。
崩れかけた階段もかび臭い賽銭箱もさび付いて傾いている鈴もどれもみんな似ている。
だが何といっても一番似ていたのはあの鏡だった。
いや、似ているんじゃない。あの鏡そのものだ。モコリンが吸い込まれたあの鏡が、今まさにそこにある。
「これって…」
モコリンの背中に妙な感触が走る。
それを確かなことにするかのように、ウツセミが真剣な顔でモコリンに向かい合った。
「ここは鏡門(きょうもん)神社。ニンゲンの世界と我々やおよろずの世界を繋ぐ場所です。祭られている鏡は三途鏡(さんずかがみ)といって普段はこのお社に封印されています。ですが、時たま鏡の力が強まるときがあり、封印が破られてニンゲンが我々の世界に迷い込むことがある」
「じゃあ、アタイは…」
「イサリビさん。あなたはもといた世界に帰るべきです。ここは『やおよろず』の世界であって、ニンゲンの世界じゃないのですから」
一瞬時が止まる。
帰る…?元の世界に?せっかく来たのに?まだ来たばっかりなのに?
岩に水が浸み込むかのように、ゆっくりと事態を理解していく。
ゲームのローディング画面のアイコンのように、鳥居に止まっていたふくろうがホウホウと続けて鳴いた。
「帰るって…アタイが?現世に?」
「そうです」
ロード終了。もう後は自分の意思のままに動くことが出来る。
ウツセミが自分を帰らせようとしていると完全に理解したモコリンの口からは、魔法の詠唱のように次々と言葉が飛び出した。
「そんな…!ちょっと待ってよ!アタイ、まだ帰りたくないよ!だって、今来たばっかりじゃない!」
「何故です?あなたには帰る家があるはずでしょう?」
「あるけど…ちょっと早すぎじゃないって言ってるの!もっと色んなところ見てみたいよ!」
「あなたの気持ちはわかります。ですが…」
「わかるんなら、帰そうとしないでよ」
「ですが、あなたの帰りを待っている友達や父や母がいらっしゃるでしょう?」
そこまで言うと、急にウツセミはしまったというようにはっと目を見開いて口をつぐんだ。
その場にいた全員が―ナガレボシや次郎丸でさえ、黙りこくってしまっている。
なんとなくナガレボシの視線がナキボタルを見ていることが気になったが、モコリンは自分の主張を続けることにした。
「そりゃあ、友達や両親もいるよ。でも現世に戻ったって、全然つまらないんだもの!朝起きて、学校に行ってつまんない授業聞いて、友達とくだんないこと話して、先生のどうでもいい受験談義聞いて、夜にはティーリィーや蛉と塾行って…。毎日毎日同じことの繰り返しなんだ。わくわく感もどきどき感もない、単調で平凡な毎日。そんなときにこの世界に来られて、久々にわくわくできたのに、それがもうおしまいだなんて」
「でも、お母さんがいるんやろ?」
突然モコリンの言葉をナキボタルがさえぎった。
怒っているような泣いているようなその声に、モコリンは何がどう悪いのか全く解らなかったが罪悪感を覚えた。
「イサリビさん」
沈黙を押し破るかのように、ウツセミが話し出した。
「確かに、この世界はニンゲンの世界に比べれば刺激的かもしれません。…というか、自分が普段いる世界とは違った別の世界は誰にとっても魅力的でしょう。ですが、この世界は余りにも危険すぎる。あなたの現世での毎日は平凡かもしれませんが、それでも平和です」
「でも…」
「あなたは狙われているんですよ?ツクヨミさんたちがあなたをニンゲンと見破るのは時間の問題です。さっきみたいなとき、丸腰のあなたはどうするんですか?またナガレボシさんに守ってもらいますか?襲われるたびに守ってもらうのですか?」
「うっちゃん言いすぎだよ!」
ナガレボシが叫んだが、ウツセミの言葉はモコリンの心に深く突き刺さった。
誰かに頼ってばかりいる自分。
誰かに護られてばかりいる自分。
そんな自分は想像したくない。そんな自分が具現化するのが嫌だ。
どうしようもない感情に襲われてモコリンは泣きたくなってきた。
「ま、まあ気にするなよぃ。帰るのが少し早くなっただけなんだからさ…」
そんなモコリンに同情したのか次郎丸が慰めの言葉をかけてくれたが、モコリンには届かなかった。
「うん…そだね。じゃあ、アタイ帰るよ…」
モコリンはくるりと向き直ってお社の中に入ると鏡に手を伸ばした。
来たときと同じように鏡が光りだす。
イサちゃん、とナガレボシが言ったのが聞こえてモコリンが振り返った瞬間だった。
ズガン!!と何か雷のようなものが鳥居付近に落ちて、ウツセミたちが吹き飛ばされるのが見えた。
「みんな!!」
モコリンが叫んだのも空しく、三途鏡は既にモコリンを吸い込んで現世へと送り返してしまっていた。

【つづく】

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しゃちほこ | 短編「やおよろず」 | 19:21 | comments(2) | -

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コメント

第7話拝読しました!
神社…異世界に通じる鏡…もうどきどきしまくりで読ませてもらいました!!
ナキボタルさん…あまり触れちゃいけない過去があったみたいですね…。
モコリンさんの言うことも痛いほどよく分かるんですが、
現実からはやっぱり逃げちゃいけないんですよね…
(自分に言い聞かせないと…)。
そしてウツセミ……もうここまで完璧にキャラを活かしてもらえて、
いっそ拝み倒させて頂きたいくらいです…!
理屈っぽいというか、正論で進めちゃう翠の物言いは、
冷たく聞こえることもあるだろうと思っていたので…。

そしてラスト五行

!!?ナガレボシさん!!ナキボタルさん!!
ウツセミーーーーっ!!!!(←結局親バカ全開)

行雲 | 2006/11/08 11:36 PM

>行雲さん

>現実からはやっぱり逃げちゃいけないんですよね…
私もこの辺は自分に言い聞かせるつもりで書いていました;

>ウツセミ
キャラを壊してしまったかな…と不安だったのですが、そう言っていただけて良かったです。

>ラスト五行
気になるところで終わらせるのは私の悪い癖ですね^^;
次回にご期待くださいませw

しゃちほこ | 2006/11/10 8:27 PM

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